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自分の心を揺さぶるような作品や話を
見たり、聞いたりした後に、
なんだかシャワーを浴びた後のような・・
いや、
思いっきり・・涙が枯れるまで
泣いて、泣いて、泣き切った後のような・・
そんな爽快感を感じることがある。

そして、今、久方ぶりに、そんな気分で。。
思わず、ブログを書くことにしました。

河瀬直美監督の最新作
『玄牝(げんぴん)』
を見てきたのです。

愛知県岡崎市にある自然分娩の産院「吉村医院」を
1年間撮り続けたドキュメンタリー映画で、
今年のスペイン・サンセバスチャン国際映画祭で、
国際批評家連盟賞を受賞した作品です。

見て、しみじみ・・
河瀬監督は、やっぱり天才なのだと
思いました。

おなかの大きくなった女性たちが、
吉村医院の敷地内の江戸中期の古民家で、
戸板を磨きながら一日300回もスクワットをし、
臨月の女性が、薪割りをしている。。

なんだ?この産院は??

けれども、女性たちは、日に日に美しくなる。

みんなメイクもしてないのに、
とても肌がきれいで、
眼がキラキラしてて、
身体がのびのびしてる。

自然の一部としての人間。
出産を前に、その原点に少しでも近づく、
それが吉村医院の方針。

でも、そうした事実を
河瀬監督は、単に、
自然分娩礼賛モノのドキュメンタリーにはしない。

それに取り組むお医者さま、吉村先生を
人間として撮り続けているのです。

生まれ来る命とその命を世に出す母親や家族、
それを見守り、支え続ける助産婦さん、
そして、吉村先生の家族。

ここに今自分がいる奇跡。
そして、その奇跡のなかでの苦悩と感謝。
いろんな思いが交錯します。
映画を見ていると、
いつの間にか自分も映画のなかにいて、
そんなことを考え始めていました。。

映画の最初の方ででてくる
吉村先生の言葉。

「大切なのは事実なんです」

この映画は、
その事実というものと、奇跡のように出会い、
紡いでいっている。

20kgもある16mmフィルムのカメラを担ぎ、
自らフィルムを回したという河瀬監督。

一度に撮れるのは、たった10分。

その10分といかにして出会うのか。

河瀬監督の奇跡を呼び寄せる力、
それは、
河瀬監督のすべてのものに対してありのまま
透明なまま正対する姿勢から起こるものなのか・・。

そして、この映画のテーマは、
撮る前から決まってたんだろうか。

それとも、撮ってから
奇跡の積み重ねの末に、
見えてきたんだろうか。。

今度お会いしたら、聞いてみたい。。

ぜひ、多くの方に見ていただきたい。
家族や恋人と。
子どもも一緒に。
もちろん一人でも・・。

じーんといろんなことを考えます。

『玄牝(げんぴん)』オフィシャルサイト
 http://www.genpin.net/

蛇足・・
映画のなかで、助産婦さんが言う台詞が、
先日のブログに書いた岡田前監督と同じで・・どっきり。

「最近の妊婦さんは、ノウハウばかりをたくさん知って、
 本当に大切なことを知らない。
 吉岡先生は、その本当に大切なことを
 妊婦さんに伝え続けてるんだと思います」

ノウハウではなく、本当に大切なこと。

そのことを知る上でも、ぜひ映画を見て、
考えてみて欲しいです。。。